木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

『また、桜の国で』

須賀しのぶ 祥伝社文庫

『革命前夜』を読んで、同作者の本が読みたくなって手に取った。1938年に、外務書記生がポーランド日本大使館に着任したところから物語は始まる。ナチス・ドイツが周辺国へ侵攻の姿勢を見せ、緊張が高まるなか、日本にやってきたことのあるポーランド孤児たちが作った極東青年会と協力して戦争回避に向けて奔走する。しかし戦争が勃発、幼いころのポーランド人との思い出を胸に抱く主人公はある決意をする。

少々分量もある小説だが、十分感動させてくれる。よい本に出合ったという思いがある。

『QED 神鹿の棺』

高田祟史 講談社文庫

茨城の神社を中心に祀られた神のいわれなどが紹介されながら、小説自体はミステリー仕立てになっている。

個人的にも日立の近くの大甕に想いでもあり、銚子周辺の名だたる神社のいわれも興味深かった。

『革命前夜』

須賀しのぶ 文春文庫

昭和最後の日に日本から東ベルリンに音楽留学した主人公の東ベルリンでの出会いや事件。

驚くのは、当時の東ベルリンに行ったこともないのに、まるで現場に立ち会ったような筆運び。冷戦下のドイツの雰囲気が伝わってくる。すごいと思う。

『銀杏手ならい』

西條奈加 祥伝社

子どもに恵まれずに離縁されて実家の手習い所を継ぐことになった24歳の萌。子どもたち相手に忙しない日々を送っていると、ある朝、銀杏堂の門前に女の子の捨子があった。自身も血のつながらない両親に愛情深く育てられた萌はその子を授かりものとして育てる。手習い所として子どもたちと向き合い自らも成長していく話。

ただ、あまり楽しく読めなかった。