木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

『水たまりで息をする』

高瀬隼子 集英社文庫

ある日、夫が風呂に入らなくなったところから小説は始まる。結婚して十年、妻は夫の妙な行動にどう対応していくのか。耐え難い夫の体臭や周囲の視線、義母からの非難。正常から逸脱。並行して子どもの頃飼っていた魚を処分する話が語られる。妻が東京に行く際に捨て去ったもの。逸脱と弱さによりそってはいられないと思いながら、生き延びてしまうだけの生き方。