木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『愛についてのデッサンーー佐古啓介の旅』

野呂邦暢 みすず書房 野呂邦暢の本には初めて出合うが、気負ったところのない文章がいい。 まだ若い男が父親の古本屋を継いで、依頼された生原稿を手に入れてきたり、本や出会いに絡む物語。 野呂邦暢は早世したようである。 みすず書房の「大人の本棚」の1…

『ニキ』

夏木志朋 ポプラ社 ポプラ社の小説新人賞を受賞している。 少数者の葛藤を描いたと言えばいいか。 しかし、少数者は意外に多数。だから簡単に排除はできない、ということ。 担任の先生の少数者としての性癖を通して主人公の性癖に気づいていく。 和解として…

『雪の断章』

佐々木丸美 創元推理文庫 初めて読むが、以前読んだような気もする。しかし楽しめて読むことができた。 孤児の文学というべきか、少女が青年と会って、その友人も含めた交流が描かれる。殺人事件が起き、誰がどうしてそうした事件を起こしたのか、少女の心情…

『ふたり、この夜と息をして』

北原一 ポプラ文庫 高校2年生の同級生たちの交流。 顔にアザのある少年が主人公。 登場主人公に悪い人が出てこない。 心優しい友人たちだけの、しかし悩みをもつ者の交流だったりする。