木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『人質の朗読会』

小川洋子 中公文庫 ツアーの参加者と添乗員などが反政府ゲリラから襲撃を受け拘束された。2か月を過ぎても膠着状態が続き、100日が過ぎようとするときに軍が強行突破し銃撃戦になり、全員が死亡した。文章や盗聴器が発見されて、「人質による朗読会」が行わ…

『教科書に載った小説』

佐藤雅彦編、ポプラ社 佐藤さんが推薦した小説12編が載っている。類書が文庫本などで出ているが、この12編のよさは、あまり代表的な本でないことだろう。有名な著者であっても、ああこんなことを書いていたんだ、と知れるところが面白い。 絵本を子どもに読…

『ある一生』

ローベルト・ゼーターラー 浅井晶子訳 新潮社 20世紀の始まりから終わりまでのある男の一代記。誰に知られることもない人生だが、厳しい時代を生き抜く物語が読む者の胸を打つ。 男は未婚の母親から生まれた私生児。母を亡くしたため親戚の農家に引き取られ…

『しずかな日々』

椰月美智子 講談社文庫 小学5年生の男の子が主人公。父親はいなくて、母親が新しい仕事を始めるにあたっておじいちゃんのもとで暮らし始める。友達付き合いも苦手だが、友人に恵まれて楽しい時期を送る。そのことが語られる。とくに深刻な話もなく、日々の暮…

『終わりの感覚』

ジュリアン・バーンズ 土屋政雄訳 新潮社 歳取ってきて、青春を思い出す、という話。勘違いしていることも多い。 筋立ては、よく読んでみても分かりづらい。

『隠居すごろく』

西條奈加、角川書店 この本、3年くらい前にも読んだ。書評を書くので読み直してみた。 隠居した爺さんが孫の影響で変わっていくもの。

『時のかさなり』

ナンシー・ヒューストン 横川晶子訳 新潮社 ナチス統制下のドイツから、カナダ、イスラエル、アメリカへの4代にわたる物語。いずれも6歳の子どもの視点で書かれている。書かれ方はアメリカ、イスラエル、カナダ、ドイツへの時間の流れは逆。 ナチス統制下の…