木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『フェミニズム』

NHK100分DE名著シリーズ 加藤陽子さんが『伊藤野枝集』を、鴻巣友季子さんが『侍女の物語』『誓願』を、上間陽子さんが『心的外傷の回復』を、そして上野千鶴子さんが『男同士の絆』を解説する形で論を展開している。数月前に番組を見ていたので、分かりやす…

『砂の女』

安倍公房 新潮文庫 カフカのような、なにかアレゴリーな世界を描いているのかと思っていたが、もっとリアリティのある小説だった。自分にも起こり得る世界。 そうやって読むと、非常に恐ろしい。怖い小説だった。

『52ヘルツのクジラたち』

町田そのこ 中央公論新社 本屋大賞にも選ばれた小説。虐待された当事者たちの話だが、それだけではない少数者の連帯の話でもある。 裏切られない、いい本だった。

『木になった亜紗』

今村夏子 文春文庫 まあ、ありえない世界に引きづっていく小説ではある。主人公の女性の手から食べようとしない家族や金魚。木に転生して割り箸になる物語。また、他者とのつながりを希求して不思議な世界が広がったり。

『僕はかぐや姫/至高聖所』

松村栄子 ポプラ文庫 女子高の文芸部員が自分のことを僕と呼ぶ。先に読んだ「女ことば」で紹介されていたので読んでみた。至高の方は大学生の物語。芥川賞を受賞している。女子高生、女子大生の気持ちがよく表現できていると思う。

『女ことばってなんなのかしら?』

平野卿子 河出新書 翻訳家が日本の女言葉について書いた本。 たとえば女ヘンの漢字は多いが男ヘンの漢字は数えるほど。そのかわりに人ベンがある。また、言葉の背後に文化がある。 ひと言でいうと、日本のジェンダー平等は一筋ならではいかないな、と感じた。