木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『定価のない本』

門井慶喜 創元推理文庫 古本業界の話と言えば、梶山季之の『せどり男爵数奇譚』が面白かった。 この本は戦後まもなく、GHQとの関係で古い本が売れる話だが、それなりに読ませてくれた。しかし、同業者の死をめぐって、かなり強引な筋になっていて、もう少し…

『遣灯使』

多和田葉子 講談社文庫 表題以外に「韋駄天どこまでも」「不死の島」「彼岸」「動物たちのバベル」が収録されている。 従来の語りとは異なる手法の小説と言っていい。

『ベルリンは晴れているか』

深緑野分 筑摩書房 ドイツ、ヒットラー時代の第二次世界大戦前夜から戦争直後まで、一人の女性の生きざまが描かれている。 戦後と戦前が章ごとに書かれていて、最終的にはそれがまとまる形になっている。戦後の部分はずいぶん強引な出会いと筋書きだなと思っ…