木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『サラの鍵』

タチアナ・ド・ロネ、高見浩訳、新潮クレスト・ブックス フランスにもかかわらずドイツ・ナチスに協力してユダヤ人たちが収容所に行く。10歳のサラは連行されるのに、とっさに弟を納戸に隠して鍵を閉めた。 サラは収容所を逃走して生き残る。その話がベース…

『シェル・コレクター』

アンソニー・ドーア 岩本正恵訳 新潮社 ドーアの処女短編集。8編が収録されているが、『貝を集める人』『ハンターの妻』『世話係』『ムコンド』がよかった。 語りの文章だが、必ずしもきちんとしたストーリーというより、脱線などもあって、それがいい。

『すべての見えない光』

アンソニー・ドーア 藤井光訳 新潮社 長編である。しかし盲目の少女と兵士の物語はそれぞれの短い話で語られているので長さは感じられずに読める。 それにしても、戦争中の命の物語はすさまじい。読書の楽しさを味わわせてくれる1冊である。

『ナーダという名の少女』

角野栄子 角川書店 ブラジルが舞台。日本人男性の父をもつ少女が主人公。15歳。 ナーダは幽霊。角野さんは幽霊を話題にするのが好きみたい。主人公、年齢的に興味をもつ時代なのかも知れない。なんと主人公の少女とナーダは双子。種明かしになってしまうが、…

『ラスト ラン』

角野栄子、角川書店 『魔女の宅急便』の著者が書いた、自伝的小説と言える。 74歳のイコさんはバイクツーリングにでかける。目的地は5歳で死別した母の生家。手掛かりは、母が12歳のときの写真。たどり着いたその家には不思議な少女が住んでいた。少女は幽霊…

『蜩ノ記』

葉室麟 祥伝社 読みたいと思っていた本だが、とくに急ぎ読む本でもないと思っていた。ブックオフで200円で出ていたので、求めた。 武士の倫理を生きながら、死んでいく世界が描かれる。うまい小説だな、と思わせる。 いま、テレビで渋沢栄一の『論語と算盤』…