木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『奇妙な仕事』『死者の奢り』

大江健三郎全小説1、講談社 大江健三郎が学生時代に書いた2つの小説ともアルバイトについての小説だ。『奇妙な仕事』では150匹の犬を殺すためにアルバイトを始める。『死者の奢り』では大学病院の死体保存のプールでのアルバイト。

『灯台からの響き』

宮本輝、集英社 中華そば屋の康平が主人公。奥さんが店で倒れて亡くなる。その後本の中から奥さん宛にきたハガキが出てくる。関係のない人からのハガキだと言っていたがどういう関係か、たどり始める。 結婚前の奥さんの意外な秘め事が明るみに出る。決して…

『雲上雲下』

朝井まかて、徳間文庫 朝井まかてはこれまでに『恋歌』を読んだことがある。 『雲上雲下』は民話をネタに書いた小説。山の樫の洞をぬけた後に広がる世界で、草が話をする。

『ふがいない僕は空を見た』

窪美澄著、新潮社 エロティックな文章が多く、最初の方はあきれて読んだが、全体を通しては割合気持ちよく読めた。 こうした愚かさも含めて、人間は人間なのだろうと感じた。

『重き流れの中に』

椎名麟三、新潮文庫。 「深夜の酒宴」「重き流れの中に」「深尾正治の手記」の3篇が入っている。 これも学生の頃に読んだことがある。それを思いだして今回読んでみたが、当時の感動はなかった。ただ、ドストエフスキーの影響とみられる感じはユニーク。風景…

『熱い風』

小池真理子。集英社 熱い恋のなか婚約者が突然亡くなる。彼を思いだしながらのパリ、ブリュッセル、アムステルダムへの旅。恋のなか彼に疑念はあったのだろうかと考えながら旅は続く。

『風立ちぬ・美しい村』

堀辰雄、岩波文庫 若い時に2度ほど読んだ記憶があるが、内容を覚えていない。 再度読んでみて、とくに「風立ちぬ」がよかった。 死がモチーフになっているが、粗暴なイメージではなく、友人であるような描き方がいい。