木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『土に贖う』

河﨑秋子 集英社 短編集である。7つの小説が載っている。 北海道に題材をとった小説で、短編とは言えしっかり読める。 通常は読み初めにはなかなか小説世界に入っていけないものだが、いずれもすんなり入っていける。長編も同じで、河﨑さんの小説の特徴と言…

『締め殺しの樹』

河﨑秋子 小学館 このところ、河﨑秋子に凝っている。 『締め殺しの樹』は長編だが、しっかり読みごたえはあった。 薄幸の女性の一代記かと思っていたら、その後も話は続いていく。北海道、根室で多難な人生を送る女性。北海道に住む河﨑氏だから書けた、と…

『颶風の王』

河﨑秋子 角川文庫 この作で三浦綾子文学賞を受賞している。 馬と女性をめぐる明治から現代までの物語。 捨造が東北から北海道に移民することで始まるわけだから、女性というよりも家族の物語といえる。

『肉弾』

河﨑秋子 KADOKAWA 先に読んだ『鯨の岬』のよさに惹かれて、同じ作家の『肉弾』を読んだ。 ひとつの傾向というのではなく、全く違ったと言っていいだろう。獣の領域に踏み込んでいく父と息子の物語。獣との闘いなど、描写力もありすごいと思うが、場面に迫力…

『檸檬の棘』

黒木渚 講談社文庫 絶縁して10年になるのにまだ父のことを許せていない。 中学生から寮に入り家族と別居。両親は離婚。 大腸がんで亡くなる父とのことを中心に小説は進む。 が今一つ乗り切れなかった小説だった。

『鯨の岬』

河崎秋子 集英社文庫 『鯨の岬』とともに、北海道での時代劇ともいえる『東阪遺事』が収録されている。 文章も構成もしっかりしている。2作を読んで、著者の才能の確かさを感じた。 ぜひ他のものも読んでみたいと思った。