木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『風の盆恋歌』

髙橋治 新潮文庫 不倫の恋の話である。風の盆の祭りを描きながら美しい仕上がりの小説である。この内容そのものがが石川さゆりの歌にある。 若いころに出会い、年を経た今、物語は動き出す。死をかけて。

『アルプスの少女』

ヨハンナ・スピリ 講談社 少年少女世界文学館の16に入っている。他の本だと『アルプスの少女ハイジ』などの題名で出ているものもある。 1800年代末の作品ながら古さを感じさせない。キリスト教が色濃く影を落としていて、それが貧富の差につながったり、人生…

『完訳 日本奥地紀行3 北海道 アイヌの世界』

イザベラ・バード 平凡社 昔、東北編は読んだことがあるが、北海道篇については読んだことがなかった。 友人と話していて、なぜ読む人が少ないのだろうか、北海道篇はマイナーなんだろうか、ひょっとしてアイヌを差別的に書いているのではないか、と話したの…

『悪女について』

有吉佐和子 新潮文庫 美貌の女実業家が登場するわけではない。27人の周辺の人たちに聞く形で物語は始まる。しかも死んだというところから始まり、女の生きざまがいろいろに語られる。

『開幕ベルは華やかに』

有吉佐和子 文春文庫 演劇界の裏話などが書かれており、事件が起きる。面白かった。

『神様の暇つぶし』

千早茜 文芸春秋 たまたま図書館で借りてきた。 死んだ父親の友人であるカメラマンと恋に落ちる。主人公は大学生。交友関係も出てきて、やや立体的な構成になっている。情交後の肢体がカメラでとらえられ、写真本となる。