木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『エトルリアの微笑み』

ホセ・ルイス・サンペドロ著、NHK出版 老人が主人公。ガンで残された命はわずか。生まれ故郷に別れを告げて、息子夫婦の住むミラノに旅立つ。移動の途中、ローマの博物館でエトルリアの遺物「夫婦の棺」が老人の心をとらえる。棺だというのに夫婦は幸せそう…

『うつくしい繭』

櫻木みわ 講談社 東ティモール、ラオス、南インド、西南諸島を舞台にした4つの短編。 東ティモールの少女は死者の声を聞くことができる。 ラオスの山奥では、親友と婚約者に裏切られた女性。 南インドに、兄のためにがんの新薬を探しに来た女性。 日本、西南…

『ヒストリア』

池上永一、角川書店。 第二次世界大戦の沖縄戦を奇跡的に生き延びた少女が、ボリビアに移住する。沖縄戦での生き延び方もリアリティがあるが、ボリビアを中心にラテンアメリカを駆け巡る主人公の動きも緻密に書かれている。 単行本で629ページ。分厚い本だが…

『海神の島』

池上永一、中央公論新社 3人の姉妹が沖縄の秘宝を探す小説。 米軍基地内にある海神の墓を守ってほしいという祖母の願いに、それぞれ個性派ぞろいの姉妹がチャレンジする。 この小説の魅力は、話題のユニークさにあるだろうか。それぞれのシーンに見合った意…