木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『かさなりあう人へ』

白石一文 祥伝社 この人の小説は初めて。しかし面白く読めた。 人の出会いの妙を感じる。一人の人と一人の人ではなく、同じような出会いを繰り返す人の不思議さ。結婚が願望であるような関係ではなく、むしろこれまでの別れを思い出しながらの、中年の出会い…

『揚羽蝶』

泡坂妻夫 徳間書店 このところ泡坂に凝っている。しかし、この本は面白くなかった。というより、集中して書いているようには思えない。同じ書き手でもこうも違うのか、と呆れている。年取ったからなのか、病気でもしているのか、と感じた。

『折鶴』

泡坂妻夫 創元社文庫 短編集で4篇が納められている。4篇で泉鏡花文学賞を受賞している。 とくに「折鶴」がよかった。 それぞれ職人の世界を書いているが、「折鶴」は悉皆屋の職人。和服の洗い張りの世界で、古い時代を彷彿とさせる。そこにミステリー的な要…

『蔭桔梗』

泡坂妻夫 創元推理文庫 彼の小説は『湖底のまつり』を読んだことがある。印象深かった。 『蔭桔梗』にはこれを入れて11の短編が納められている。 全体に職人が登場する。とくに紋章上絵師の登場するものが多い。着物に関する話題が多く、そういう意味で味わ…

『神様のカルテ3』

夏川草介 小学館 夏川草介にはまっている感じだ。 読みやすいし、内容もよく入ってくる。 今回は医者としての診断間違いがテーマ。

『冬瓜』

村尾文 西田書店 短編集第一巻とある。 6つの短編が納められている。 最初の「冬瓜」が本のタイトルにもなっている。船橋市文学賞を受賞しているから、船橋市に在住の方かもしれない。「冬瓜」は鹿島あたりの疎開地のことを書いている。この地の風習となっ…