木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『近代小説<異界>読む』

東郷克美 高橋広満 双文社出版 不思議な味の短編を集めた本である。短編ごとに書いていきたい。 泉鏡花「龍潭譚」古文体の少し読みづらい文章である。幼い子どもが道に迷い、自分の精神にも迷っていく。早くに亡くなった母を追い求め、姉に求める。多くの泉…

『神様のカルテ2』

夏川草介 小学館 1が面白かったので読んだ。 後半、死にまつわる話が多かったが、しっかり納得できる内容だった。 病気に関する知識が書けているので、嘘らしさや危うさがない。将棋の話も出てくるが、こちらも嘘らしさがない。 病院なだけに死は大きな話題…

『木挽町のあだ討ち』

永井紗耶子 新潮社 面白かった。これから読む人のために内容をばらすのは控えるが、あるあだ討ちを巡って関係者へのヒアリングが行われる。ヒアリングというよりも、関係者が、自分の生きざまを話す。そのうえで、最終的に落ちがあるのだが、いい話なのであ…

『神様のカルテ』

夏川草介 小学館 まずはよい小説だったと言いたい。 『始まりの木』がよかったので、夏川氏の本を読むのは2冊目。 医者が、病院のこと、暮らしのことを話していくストーリー。 それにしても激務。 しかし、患者との交流がいい。 2巻目も読んでみたいと思った…

『猫を抱いて象と泳ぐ』

小川洋子 文芸春秋 チェスの話である。 盤の下にうずくまってチェスを打つ青年。 互いにいかに強いのかを争うものだと思っていたが、チェスを通してコミュニケーションを行う。相手の性格も理解できる。読みながら、いい時間をもったように思う。