木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

『生の裏面』(李承雨著)

『真夏の視線』に続いて『生の裏面』を読む。

同じく父性不在が大きく影を落としている。

小説の主人公は、自らの体験として書くのが困難なのか、他の作家の作品論として書き始めるが、他の作家(パク・プギル)はなかなか語ってくれず、未発表の作品の紹介という紹介で、進んでいく。

自分の語りではなく、他人の物語として語られていく手法の多義性を考えながら、読者は本に向き合っていく。人生の困難への向き合い方を教えられているようでもある。