木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

『手から、手へ』『童子』『月下の一群』

池井昌樹 

『手から、手へ』集英社

童子思潮社

『月下の一群』思潮社

いずれも詩集。『手から、手へ』。

昨日の朝日新聞鷲田清一さんの「折々のことば」で紹介されていた文章がよかった。

こんな感じだ。

「やさしい子らよ

おぼえておおき

やさしさは

このちちよりも

このははよりもとおくから

受け継がれてきた

ちまみれなばとんなのだから

てわたすときがくるまでは

けっしててばなしてはならぬ」

養育者、あるいは大人が子どもに向けて伝えておきたいのはこのことだけだろう。

最初の一篇も紹介しておこう。

「やさしいちちと

やさしいははとのあいだにうまれた

おまえたちは

やさしい子だから

おまえたちは

不幸な生をあゆむのだろう」

この詩集では、子どもが将来出会う問題の処方も書いている。たまたま父と母が子どもに向けて話しているが、里親でも同じことだ。むしろ里親の願いの方が強いかも知れない。というのは、肯ぜない子どもが多いからともいえる。