木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

『男ともだち』

千早茜 文芸春秋

これも直木賞候補だという。

イラストレーターの女性が主人公。恋人でもない男友達やつきあう男たち、同棲から別れていく男。さまざまな人間関係が描かれる。もちろん同性の友達についても。

前に読んだ同じ作者の『あとかた』にはあまりいい読後感をもたなかったが、こちらはいい。イラストレーターとしての日常がよく書かれている。

『あとかた』

千早茜 新潮社

直木賞候補作 島清恋愛文学賞受賞作というのでどんな小説かと思い読んでみた。

若い男と女の自由な交流。セックスありセックスなし。死もある。自由ではあるがそれを自由というのか。よく分からない人間の交流。若い時というのはこうだろうな、という共感はあるが、あまり心打たれなかった。

『ポトスライムの舟』

津村記久子 講談社文庫

私は人の名前を記憶するのは苦手だ。この小説も始めに登場人物の名前が漢字で書かれるが、あとはローマ字。他の登場人物もローマ字で、男性か女性かも分かりづらい。あえて他の姓で語られるようなところもある。分かりにくさのなかに踏み込んでいくような小説体験である。しかし読書を中断してしまうような気持ちにはならない。

ただ、芥川賞受賞というところまで理解が届かなかった。