木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

『遠い朝の本たち』

須賀敦子筑摩書房

子どもの頃に出会った本を語っていく。

アン・リンドバーグの言葉。「さようなら、とこの国の人々が別れにさいして口にのぼせる言葉は、もともと「そうならねばならぬのなら」という意味だとそのとき私は教えられた。「そうならねばならぬのなら」。なんという美しいあきらめの表現だろう。西洋の伝統のなかでは、多かれ少なかれ、神が別れの周辺にいて人々をまもっている。英語のグッドバイは、神がなんじとともにあれ、だろうし」云々。