木ノ内博道の雑読ノート

読んだ本の備忘録です。

『オルガ』

ベルンハルト・シュリンク松永美穂訳、新潮社

19世紀末から21世紀までを駆け抜ける小説と言っていい。主人公のオルガは幼くして両親を亡くし、ドイツ帝国の村で祖母に育てられる。祖母の反対を押し切って女子師範学校に進む。オルガとこの地方の農場主の息子ヘルベルトの運命を中心に話は進む。

時代の困難、ヘルベルトの野望のなかオルガは生きていく。3部構成になっていて、1部はヘルベルトとの恋愛、3部では離れて暮らし死んでしまうヘルベルトへの手紙。

手紙で明かされるオルガの生き方。時代に翻弄される子ども。オルガという女性の時代に左右されないしっかりとした生き方が胸を打つ。